今回のブログでは、通訳ツアー中の大問題である食事について書いてみましょう。
英語ガイドをしていると、様々な国籍の方がいるので、多様な食事制限に気をつけなければなりません。
イスラム教徒は、豚肉は厳禁です。
アルコールも駄目な人は、ケーキを食べる時でも、リキュールが入ってないか尋ねます。
レストランに前もって「豚肉不可で」と指示してあっても、100%ビーフのハンバーグにベーコンが巻いてあったことがありました。
その時は先に調理場に覗きに行ったので気がつきましたが、ベーコンに一旦触れてしまったハンバーグをそのまま出したとなると私も切腹ものなので、全部作り直してくれるように頼みました。
でも、10分もたたないうちに新しいハンバーグが30人前出てきたではありませんか。
ああ、でもやっぱりそのレストランを信じるしかないですね。
インドのヒンズー教徒は牛肉厳禁ですが、インド人には牛肉も含めてすべての肉類が駄目なベジタリアン(菜食主義者)が多くいます。
インド人でなくても、アメリカ人などにも菜食主義者が沢山います。
ベジタリアンの場合、どこまでが駄目なのか確認する必要があります。
牛肉・豚肉などは駄目でも魚介類は大丈夫な人、魚介類も含めてすべての肉類は駄目だけれど卵・乳製品は大丈夫な人、卵・乳製品も含めて動物性のものは一切駄目な人もいます。
魚介類不可の人は、和食は要注意です。
野菜の煮物にしても、だし汁に殆ど必ず鰹節が含まれているからです。
またアメリカ人などはアレルギーによる食事制限のある人がとても多いです。
MSGアレルギーというのはグルタミン酸ソーダ(つまり味の素などの調味料)アレルギーなのですが、強度のMSGアレルギーの人は本当に困りますね。
醤油等ほとんどすべての調味料に入ってますから。
他にも、そばアレルギー、小麦粉アレルギーなど色々ありますが、以前、海水に含まれるヨードのアレルギーの人がいました。
魚介類は勿論、海草も、塩も駄目なのです。
塩が駄目ということは醤油・味噌などの調味料もほとんど駄目ということになります。
ツアー開始前には申告がなかったので普通食を予約していたのですが、最初の食事の時、たまたま横に座って事情を聞いたので、「じゃ、このチキンだけしか食べられないから私のをどうぞ」と差し出すと、「ありがとう。でもこのチキン3切れのうち、上の1切れだけ頂くわ。だって下の2切れは下に敷いてある海草サラダに触れちゃってるから」と言われてしまいました。
その人はツアーのサブ・リーダーだったのですが、2週間のツアー中、私が毎日レストランとの交渉で苦労しているのを見て遠慮したのか、2回目からは来なくなってしまいました。
とっても良い老婦人だったのに残念です。
Veganという完全菜食主義者には驚きました。
蜂蜜も駄目、食べ物だけでなく、毛布もソファーの皮も、動物性のものは一切駄目なのです。
そのツアーでは、小学校で各クラスに入り給食を一緒に頂くことがありました。
特例だからホテルの朝食ビュッフェのパンでも持参させようと思いましたが、10種類くらいのパンのすべてに牛乳か卵が入っているのです。
アメリカでも食べ物探しには苦労するそうで、その時も非常時用に本人がVegan用の特別食を持参していたのですが、見るとチョコバーのように見えるものだったので、「お菓子に見えるから教室では食べないでね」と頼みました。
広島市に9日間滞在したのでお好み焼き屋にも行きました。
肉類が駄目なのでラードの代わりにサラダ油を使うベジタリアン用のテーブルに彼女も座ったのですが、隣のベジタリアンは魚介類可の人で、天かすの中にスルメのフレークが入ったものをお好み焼きの中に入れていました。
はじめは別々のへらを使っていたのですが、店の人が、うっかり隣の人のお好み焼きをひっくり返したへらで彼女の分もひっくり返そうとしたものですから、「ストップ。お願いだから別のへらでやって頂戴」と言われてしまいました。
ツアー終了時のパーティで、彼女がワインを手にして、「これなら大丈夫でしょ?」と微笑んだので、「ああ、でもそのワインは日本製で魚のエキスが入っているから......」と答えてやりました。
皆で大爆笑となりました。
そういう彼女からもッアー終了後に、感謝のお便りを頂くと、それまでの苦労が吹っ飛び、一瞬にして面白かった貴重な体験として思い出のアルバムに入ってゆきます。
patientで、何時も笑顔を絶やさず、informativeで、ユーモアがあって......と色々嬉しい褒め言葉を頂きますが、他の仕事と違って、最後にキチンとしたお礼の言葉を頂けるところが、仕事のやりがいを感じさせる大事な要素ではないでしょうか?「あなたがガイドで本当に良かった」と言って貰えるとガイド冥利につきるものです。
