ここでは、劇上映画の字幕翻訳を例にしましょう。
英語代筆クラブ式字幕翻訳の仕事は、翻訳を担当する映画の試写から始まります。
この段階では当然、映画には日本語字幕は入っていません。
したがって、翻訳家はもらった台本を片手に映画の内容や雰囲気をつかみながら、字幕の切れ目を確認していきます。
同時に字幕の切れ目となる箇所を斜め線などで台本に書き込んでいきますが、この作業を「ハコを切る」と呼び、ひとつの字幕として翻訳される部分を「ハコ書き」といいます。
「ハコ書き」が終わった台本は、ラボ(フィルムに字幕を打ち込む印字会社)に回され、ラボでは台本を元にスポッティング・リストとというものを作成します。
スポッティング・リストとは、「ハコ書き」のセリフがどのくらいの長さで、映画のフィルムのどの部分に入るかを一覧にした表のこと。
英語代筆クラブ式字幕翻訳にとって、非常に重要なツールといってよいでしょう。
ここまでは、いわば下準備の段階。
スポッティング・リストを受け取った時点で、いよいよ字幕翻訳の仕事がスタートします。
まずは、スポッティング・リストに示されている数字から、ひとつの字幕に入れられる字数を換算しなければなりません。
字幕翻訳の場合、タテ書きであれば1行10字、最大2行で20字まで、ヨコ書きであれば1行13~14字、最大2行で26~28字までと、ひとつの場面に入れられる文字数が決められており、どんなセリフであろうと、この字数内に収まるように翻訳していかなければならないという制約があります。
いうなれば、字数制限を考慮しつつ、制限された字数内でいかにピタリとはまるセリフに翻訳していくか、これが字幕翻訳家の最大の仕事であり、最も苦しむ点であると言えるわけです。
翻訳がひと通り終わると、次に翻訳原稿と照らし合わせながらフィルムを見る「中間試写」を行います。
ここで、映画の各場面とセリフを合わせながらチェックし、手直しを入れ、最終的な翻訳原稿を仕上げていきます。
仕上げられた翻訳原稿はラボに回され、タイトル・ライターと呼ばれる専門職の人の手によって、手書きの字幕カードにされていきます。
字幕カードはさらにフィルムに焼き付けられて、日本語字幕の入った映画となります。
この字幕の入った最初の映画が「初号プリント」で、「初号プリント」の試写は「初号試写」と呼びます。
英語代筆クラブ式字幕翻訳家の仕事は「初号試写」まで。
「初号試写」が無事に終了すると、映画は劇場用映画として公開されていきます。
劇場用映画の場合、スケジュールはすべて映画の公開時期に合わせて進められていきます。
したがって、翻訳に必要な期間も、映画の公開日に間に合うように設定していかなければなりませn。
通常、翻訳に割ける時間は1週間程度ですが、中には4日で仕上げなければならないというケースもあります。
